空間を整えるとき、
照明はいつも最後に考えられる存在かもしれない。
家具や素材、色や配置が決まり、
そのあとに「どんな光を入れるか」を検討する。
けれど実際には、光そのものより先に、
天井や壁に残る“レールの存在感”が気になってしまうことも多い。
そんな違和感から生まれたのが、
ETE(エテ)ブランドの照明レール「ETEトラック」だ。
ETEトラックは、TOKI が展開するETEブランドの中でも、
「照明を主張させない」という思想を、
もっとも端的に体現したプロダクトと言える。
照明を主張させない、という発想
開発の出発点は、とても素朴な疑問だった。
LED照明はここまで小さく、洗練されているのに、
それを支える配線ダクトは、長い間ほとんど姿を変えていない。
日本で一般的に使われている100V配線ダクトは、
約50年前の規格をベースにしている。
当時は合理的な選択だったが、
現在の空間に当てはめると、
どうしてもサイズが大きく、存在感が強い。
光をきれいに見せたいはずなのに、
レールそのものが視界に入り、
空間のノイズになってしまう。
ETEトラックは、そんな違和感に正面から向き合うことで生まれた。
幅10.5mmという選択が生んだもの
ETEトラックの最大の特徴は、その細さにある。
幅10.5mm、高さ15mm。
日本国内でも、ほぼ最小クラスのサイズだ。
この細さによって、
天井に取り付けたときの印象は大きく変わる。
「レールがある」という感覚が、
ほとんど残らない。照明を目立たせたいわけではない。
空間そのものを成立させたい。
そのために、レールはできるだけ存在感を消す。
ETEトラックは、そんな考え方から設計されている。

インテリアと照明の距離を縮めるレール
ETEトラックは、
照明デザイナーだけでなく、
インテリアデザイナーからも高い評価を受けている。
インテリアの世界では、
余計な線やノイズをいかに減らすかが、
空間の完成度に直結する。
ETEトラックは、
照明器具として主張する存在ではなく、
インテリアの一部として溶け込むレールだ。
その姿勢が、空間全体を考えるデザイナーの感覚と
自然に重なったのだろう。

ローボルトという、もうひとつの前提
ETEトラックは、DC24Vで駆動するローボルトレールである。
海外では珍しくない方式だが、
日本ではまだ馴染みが薄い。
ただ、レールをここまで細くしようと考えたとき、
ローボルトはごく自然な選択だった。
安全性、器具の小型化、設計の自由度。
それらを総合的に考えた結果、
DC24Vが最適だったと言える。
吊る、沿わせる。照明表現の広がり
ETEトラックは、
天井直付けだけでなく、
ワイヤーで吊ったり、壁に沿わせたりすることもできる。
これまで「天井に付けるもの」だった照明レールを、
空間の中に引き込む。
それだけで、光の位置や見え方は大きく変わる。
商業空間はもちろん、
住宅においても、
照明表現の幅を広げる選択肢となっている。


施工精度と向き合うということ
一方で、ETEトラックは
従来の配線ダクトと同じ感覚で扱える製品ではない。
レールが細い分、
下地のズレや穴あけのミスは隠せない。
だからこそ、設計段階での精度が非常に重要になる。
その分、設計段階から精度を意識した施工が求められるレールだと言える。
仕上がったときの空間の質は、
確実に変わってくる。
考え方を見直すきっかけとしてのレール
ETEトラックは、
単に新しい製品というより、
照明レールをどう空間に取り込むか、
その考え方自体を見直すきっかけになる存在だ。
光をどう当てるか以前に、
レールをどう存在させるか。
そこに向き合うことで、
空間全体の完成度は大きく変わる。
空間に余白を残すための選択
ETEトラックは、
一見すると、とても静かなプロダクトだ。
けれど空間が完成したとき、
「何も邪魔していない」ことに気づく。
その感覚こそが、このレールの価値なのだろう。
照明を主役にしないための照明レール。
ETEトラックは、
空間に余白を残すための、ひとつの選択肢だ。